2014年9月22日デジタル版週刊少年ジャンプ配信開始

 表題とおり毎週電子書籍として配信されることになりました。
下記の内容を初めて書いたのは2010年ぐらいなのですが、削除せず残しておきたいと思います。
今後印刷本と電子書籍とでどのような進化があるのか楽しみですね!

 

週刊漫画雑誌が電子化しない理由

 国内最高発行部数を誇る週間少年ジャンプ(2012年4月〜6月の販売状況288万部、全盛期の1996年は驚愕の620万部!)は、絶対に有料電子書籍として毎週月曜日にダウンロードできるようにはならない(※正確に言うと電子化することにより懸念される事柄を解消すれば電子化されると思う)。

 通常印刷本は一冊240円(特別号・合併号など250円〜)で月4〜5回発行されているが、電子書籍で一冊200円以下で販売されるなら高齢化しているという読者の相当数が電子書籍に乗り換えると思われる。しかし出版社としては様々なリスクをともなうため、電子化する意味はほとんど無い

・違法コピー対策・
 音楽・映像・ゲーム業界でも同じだが、デジタルデータである以上違法コピーは必ず横行する。印刷本も友人などに貸借する事はできるが、週間の漫画雑誌という事を考えると1冊あたり10人以下だろうと考えられる。しかしデジタルデータでは小学生が1人購入すれば学校中全員がほぼ同時に読み始める事が可能となってしまう。自分のホームページを作り、みんなにダウンロードさせるだけ!もちろん違法行為だが小学生でも簡単にできてしまう。もちろん学校という規模だけではなく世界中の人が閲覧できてしまう。
 電子書籍ストアではKindleに代表されるように一般消費者の端末にデータファイルを自由にさせないというのが主流だ。これは気軽にデータファイルをコピーさせない狙いがある。ストアは個人の購入した電子書籍や端末をも管理している。しかしそれでも簡単に合法コピーを作成することができる(参照「合法コピーのやり方」)。

・単行本の販売・
 誰もが想像するように単行本が売れなくなる。好きな作品を切り取って保存することはよくあるがデジタルデータの場合は単行本とほぼ同じ品質で保存できてしまう事になる。タイトルページなど若干の差はあるが、高いお金を出してまで単行本を購入しようという人は確実に減少する。電子書籍の単行本が売れないと出版社や作家(漫画家)が収入に大きなダメージとなってしまう。

・印刷本の販売・
 電子書籍化したからといって印刷本をすぐに止める訳には行かない。100%の読者が電子化に対応してくれるなら印刷本は無意味だが、90%以上電子書籍に読者が移行しなければ売上げが落ちてしまう。これは300万部近い発行があるので1%がとてつもなく大きいためである。逆に発行部数が少ない書籍(1万部以下)は電子化した方が得策かもしれない。

・広告やタイアップの対応・
 ほとんどの雑誌には広告が掲載されている。週間少年ジャンプの場合はカラー1ページで300万円以上と破格の金額だが実は自社広告・ゲームやアニメなどとのタイアップが多い。電子化した場合これらの広告効果が未知数だが印刷本よりも安価な設定にする必要性がある。印刷本は発行部数を減少させるわけだから広告単価も安くなるので、全体的に広告収入が減る可能性が高くなる(電子書籍の場合は印刷本よりも広告を増やす事は可能である)。
 実は広告を出している側は立ち読みでも全然問題ないと考えている。どれだけ多くの人に自社の商品をPRできるかが問題なので、例えば表4(表紙の逆側)に広告を出している場合、電車など不特定多数の人がいるところで読まれると効果的であり、もちろん広告料金も高額だ。これが電子書籍になってしまうと基本的に表4は意味が無いというより表4という言葉自体が消滅してしまうだろう。周りの人の目に触れる機会が全く無い電子書籍では広告料金を下げるしかない。
 このように電子化には致命的なデメリットが多く存在する以上、うかつに電子化できない。週間少年ジャンプ以外でも電子化できない印刷書籍はたくさんあり、出版社の規模を縮小するぐらいの考えが無い限り印刷書籍はなくならない。読む側に取っては紙かデジタルデータかの差しかないが、ビジネスベースで考えると電子書籍と印刷書籍は全くの別物だという事がよくわかる。

 電子書籍の漫画本(単行本)は売れ筋である。すでに翻訳して海外の電子書籍ストアでも販売されている。ご存知の通り日本の漫画やアニメの文化はグローバルな活躍を続けている。一発当たればデカいなんてモンじゃない!などという詐欺まがいの妄想はおいといて(笑)、現実にはどのような戦略で海外進出するかが鍵です。ご相談お待ちしてます