印税や販売手数料の罠?

 出版業界に身を置いている以上、著作権や出版権などの重要性はわかっているつもりだ。作家や出版社にとって生命線と言える権利なのは理解できる。しかしこれらの権利を守る事ばかり考えているようでは進歩しない。他でも違法コピーのことを書いたが、いつまでも怖がっていたら商売なんかできないのではないだろうか?

 作家の印税率って出版社との契約にもよるが書籍販売価格の10%前後。ミリオンセラーを連発する売れっ子作家なら余裕で食って行けるが、発行部数が1万部以下の発行しか無い作家にとっては雀の涙程度となってしまう。

 では電子書籍の印税はどうなって行くのが正しいのだろうか?3つほど方法が思いつくので明記してみた(クレジットカード決済分は除く)。

・一般電子書籍ストアでの販売・
・一般電子書籍ストア・・・・・書籍販売価格の30%
・出版社・・・・・・・・書籍販売価格の30〜50%
(作家の取り分は20〜40%)

・メリット・
販売に関する全てを従来の書店のように代行してくれる
人気のある電子書籍ストアなら売上げが一番高い可能性がある
年間出版数の少ない出版社向き

・デメリット・
書籍販売価格の30%と高額。
電子書籍ストアの人気に売上げが左右されてしまう
トップページなどでの宣伝が別料金

・出版社の自社電子書籍ストアでの販売・
・自社電子書籍ストア・・・・・書籍販売価格の0%
・出版社・・・・・・・・書籍販売価格の50〜80%
(作家の取り分は20〜50%)

・メリット・
自社なので出版社の取り分が30%増加する
トップページなどでの宣伝が無料で自由
出版数の多い出版社向き

・デメリット・
電子書籍ストアの初期投資と運営管理を自社で全て負担する
作品数の少ない出版社には向かない
宣伝を多角化しなくてはならない

・作家個人ホームページでの販売・
・個人ホームページ・・・書籍販売価格の0%
(作家の取り分は100%)

・メリット・
人気作家であれば一番儲かる方法

・デメリット・
 電子書籍の運営管理を作家自身か担当者を必要とする、もしくは外部委託出版社の協力は一切得られないので電子書籍配信まで全て作家が責任を持つ人気作家以外は不可能に近いが宣伝のやり方次第では可能

 正直なところ3つの電子書籍販売方法はどれも正しいが、どれも失敗する可能性はある。しかしホームページ運営管理ぐらいの費用なので、規模にもよるがリスクは小さい。「作家個人ホームページ」は主流となりにくいだろうが、「一般電子書籍ストア」と「出版社の自社電子書籍ストア」の闘いは見物だ!個人的には既刊・新刊など大量のコンテンツを持つ大手出版社なら自社ホームページで、少ない中小の出版社は一般電子書籍ストアを利用するのが良いだろう。

 言いたいことを散々言っているが、基本的には「より多くのストアで販売するべき」だと思う。自社でも他社でもイイ、「1冊でも多く売る手段をとる」という考え方がベスト。